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見えないものが見えるということ
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初めて眼鏡を(メガネ)かけたとき
あるいは、はじめてコンタクトをつけたとき
世界がキラキラ輝いて見えて、幸せな気持ちになったことを覚えています。
感度の上下はあれども、メガネユーザーなら誰しも一度は
経験する体験ではないでしょうか。
今日は、意識していない(あると思っていない)ものが急に姿を表す、
みえているけど見えにくいもをシャープに浮かび上がらせる
といったフォーカスにまつわる出来事に親和性を持つ作品を生み出す作家さんのご紹介です。
絹の糸を使ったインスタレーションで有名な作家さん。
普段意識しない"空間"という存在を、単純な幾何学で提示してくれます。
ビルやホールなど建造物から、モノの隙間など、空間は至る場所に存在しますが
作品が示す空間のサイズと、それを視覚的にフレーミングする
極細の絹糸で浮き出された幾何学のバランスが絶妙です。
バランスがとれないと、物体としての存在感が輪郭を強調してしまい
空間の透明性が消え、なんともどんくさい結果を生みますが
全体を把握できつつ、ディテールの透明性を失わないというバランスは見事です。
普段気に留めない空気の塊をその特色を保ったまま視覚的に立ち上げる作品。
畠山直哉-Naoya Hatakeyama
写真家として、光やレンズの意味や効果について
とてもアカデミックに作品を生み出すタイプの作家さんです。
本屋さんに並ぶ、彼の作品集にはわかりやすく明快な
作品のコンセプトや背景が示されているため、理系の方にもオススメできます。
スローガラスにまつわる話や、ガラスについた水滴に映り込む
反転した世界の像は人間の眼球と同じ現象である話など、
普段見えているのに、気に留めない現象を
見ることや見えることといった視点から再考察を加え作品にしています。
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見えることの不思議は
複雑であるが故に、想像力をかき立てます。
眼が良いに越したことはありませんが
悪くなってしまった人間として、このような
見えることへの欲求を、楽しみの一つとして
とられられたなら、より幸せな毎日になる気がしています。
メガネもレンズも生活の一部なので
これからもより楽しい情報をアップしていきまーす!!